「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展が、兵庫県立美術館にて、2021年9月11日(土)から11月7日(日)まで開催。その後、2021年12月18日(土)から2022年3月27日(日)まで東京ステーションギャラリーに巡回する。
「ハリー・ポッターと魔法の歴史」展は、2017年にイギリス・大英図書館史上最大の成功を収めた「Harry Potter: A History of Magic」の国際巡回展。世界的大ベストセラー「ハリー・ポッター」シリーズの記念すべき1作目である『ハリー・ポッターと賢者の石』の日本での出版20周年を記念して、2018年のニューヨーク・ヒストリカル・ソサエティに続き、日本に巡回する。
尚、大英図書館の大規模な展覧会が日本に巡回するのは今回が初めて。充実した大英図書館のコレクションを日本で目の当たりにできる絶好の機会となる。
現代のファンタジー文学として、20年にわたり世界的な人気を誇る「ハリー・ポッター」シリーズだが、その物語の背景には、イギリスをはじめとする世界各国に古くから伝わる魔法や呪文、占いといった文化が重要な要素として存在している。
科学が発達していなかった時代、薬草による治療や占いは魔法のように考えられており、かつての書物の数々からは、当時の人々が信じた魔法や魔術の記録を見て取ることができる。
本展では、大英図書館が誇るコレクションの中から、物語の主人公・ハリーが通ったホグワーツ魔法魔術学校の科目に沿って、魔法薬学、錬金術、天文学、薬草学、フェニックスやドラゴンといった想像上の動物などにまつわる資料を厳選して展示。J.K.ローリング自身が所有する日本初公開の直筆原稿やスケッチも合わせて、シリーズに欠かせない“魔法”にまつわる様々な資料を紹介する。
全10章で構成される展覧会の中でも特に注目したいのが、「錬金術」の展示コーナー。同コーナーには、記念すべきシリーズ第1巻のタイトルであり、中世ヨーロッパの錬金術師たちがその獲得に奮闘したという「賢者の石」の作り方が記された、世界で16点のみが知られる数メートルの巻物『リプリー・スクロール』や、錬金術に関して書かれた書籍でもっとも美麗と言われる『太陽の輝き』が展示される。
また、「占い学」や「闇の魔術に対する防衛術」といった「ハリー・ポッター」シリーズおなじみの魔法に関する資料も目白押し。茶葉によってできた様々な形を解釈して運勢を占う“茶葉占い”について書かれた、スコットランド高地の予見者による『ティーカップ占い:茶葉で運勢をみる方法』という手引書や、お守り、魔除け、護符、まじないなどに関する記述が豊富な『エチオピアの魔術書』など、見ているだけで魔法の世界に入り込んだような感覚になる資料が揃う。
その他、「ハリー・ポッター」シリーズにも魔法薬の材料として登場する「マンドレイク」や「ヘレボルス」「ハナハッカ」といった薬草について書かれた古今東西の薬草書、ホグワーツの必修科目でもある「天文学」について、レオナルド・ダ・ヴィンチが40年に渡って取り組んできた科学的考察を書き綴った「アランデル手稿」、誰もが知る呪文「アブラカダブラ」に初めて言及したとされる13世紀の書物など、貴重な歴史的資料の数々が用意されている。
■大英図書館について
イギリスの国立図書館である大英図書館(British Library)は、世界で最も優れた研究図書館の一つ。その所蔵品は、学術やビジネス、科学など幅広い分野を包括的に網羅し、世界最大規模の資料へのアクセスを提供している。250年以上をかけて収集されてきたコレクションは1億7000万点に上り、いずれも有史以来のさまざまな時代の文明を代表する資料だ。書籍のみならず、地図や写真、音声データに至るまでが、記録媒体の形態を問わずコレクションとして収蔵・保存されている。