展覧会「生誕100年 石元泰博写真展 生命体としての都市」が、東京都写真美術館にて、2020年9月29日(火)から11月23日(月・祝)まで開催される。
モダンデザインをシカゴで学び、その厳格な画面構成と造形意識から、世界でも高い評価を得る写真家・石元泰博。近代化する都市や日本の伝統建築の写真群、多重露光によるカラー作品などの多彩な作品は、同時代の写真表現、デザイン、そして建築といった多岐にわたる分野に影響を与えた。
展覧会「生誕100年 石元泰博写真展 生命体としての都市」では、シカゴと東京を往還することで構築された石元独自の“都市観”をテーマに、ミッドキャリアから晩年に至る作品166点を紹介。シカゴや東京の景観、建築、人びとの姿、そして色彩豊かな多重露光などから、生命体のように練り上げられた“都市”へのまなざしに迫る。
バウハウスの流れを汲むインスティテュート・オブ・デザインで写真を学んだ石元は、卒業後に再びシカゴに滞在し、写真集『シカゴ、シカゴ』に結実する制作を行う。その後東京に移り、没するまでこの地を拠点に制作を続けた。本展では、モダン建築により形成される都市像を撮影した「シカゴ」シリーズや、都市を生きる人びとをも捉えた「東京」作品群を展示し、人物や建築、自然、それらの痕跡を等しく捉える石元の視線を紹介する。
モダンデザインの理念は、同時代の都市を捉えた写真だけに現れているのではない。例えば、代表作「桂離宮」シリーズにおいて石元は、モダニズムに通ずる幾何学的な構成を日本の伝統建築に見出した。あるいは、樹木や金属板、自ら描いたドローイングなどを駆使して制作された多重露光シリーズには、洗練を極める色鮮やかな視覚表現を見て取れるだろう。
1980年代のニューヨークで、石元の視線は濡れた落ち葉に向けられた。そして空き缶や雪上の足跡、人の流れなどをモチーフに、「うつろい」シリーズがかたち作られる。本展では、このようにして微視的な断片と俯瞰的な視点により都市を再構築する試みを紹介。さらに、ファインダーを通して被写体を確認することなく、「偶然」に任せて渋谷・スクランブル交差点の人びとを撮影した「シブヤ、シブヤ」作品群からは、生き物のように変容を続ける都市の姿を垣間見ることができるだろう。
なお、本展と共同で、東京オペラシティ アートギャラリーと高知県立美術館でも石元泰博の活動をたどる展覧会シリーズを開催。東京オペラシティ アートギャラリーでは「伝統と近代」をテーマに、被写体に着目して、作家活動の前半を軸に紹介する。一方で高知県立美術館では、石元泰博の全貌を振り返る回顧展を行う。
展覧会「生誕100年 石元泰博写真展 生命体としての都市」
会期:2020年9月29日(火)〜11月23日(月・祝)
会場:東京都写真美術館 2階展示室
住所:東京都目黒区三田1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
TEL:03-3280-0099
休館日:月曜日(11月23日(月・祝)は開館)
開館時間:10:00〜18:00(入館は閉館30分前まで)
料金:一般 700円、大学・専門学校生 560円、中高生・65歳以上 350円
※小学生以下、都内在住・在学の中学生および障害者手帳の所持者とその介護者は無料
※10月1日(木・都民の日)は入場無料
※各種割引の詳細は利用案内を参照
※各種割引の併用は不可
※内容は変更となる場合あり
■共同開催展スケジュール
・東京オペラシティ アートギャラリー
展覧会「生誕100年 石元泰博写真展 伝統と近代」
会期:2020年10月10日(土)〜12月20日(日)
住所:東京都新宿区西新宿3-20-2
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)
・高知県立美術館
展覧会「生誕100年 石元泰博写真展」
会期:2021年1月16日(土)〜3月14日(日)
住所:高知県高知市高須353-2
TEL:088-866-8000