展覧会「生誕130年記念 髙島野十郎展」が、福岡の久留米市美術館にて、2021年1月20日(水)から4月4日(日)まで開催される。
髙島野十郎は、1890年、福岡県久留米市に生まれた洋画家だ。生前には孤独と旅とを好んで画壇と交わることがなかったものの、徹底的な写実的描写に基づく独自の絵画は、没後に光をあてられることとなった。
「生誕130年記念 髙島野十郎展」では、代表作を含む福岡県立美術館の所蔵作品を中心に、近年新たに発見された作品も合わせた全115点を展示。初期から晩年までの5章構成で、野十郎の画業を紹介する。
第1章では、《絡子をかけたる自画像》や《けし》など、野十郎青年期の作品を紹介。30代までの作品を特徴付ける、暗い色調とうねるような形態には、同時代に活躍した岸田劉生など草土社の画家の影響を見て取ることができる。
1930年、40歳になる直前に渡欧した野十郎は、パリを拠点に美術館や教会を訪れ、写生に励む生活を送った。第2章では滞欧期に着目し、《パリ郊外》や《梨の花》などを展示。それまでの緻密な描写とは打って変わって、素早く伸びやかな筆遣いが特徴的なこれらの作品からは、西洋の風景を初めて目にした野十郎のみずみずしい感動を垣間見ることができそうだ。
帰国後に久留米の生家に戻った野十郎は、庭の一角に建てた小さなアトリエで制作に打ち込む。1936年頃には再び上京して青山に居を構え、2年ごとに個展を開催するなど、充実した東京時代を送った。第3章では、《春雨》や《からすうり》をはじめ、戦前期に手掛けた密度の高い風景画や静物画を紹介する。
戦後、70代に入った野十郎は平穏な環境を求めて千葉県柏市に移り、全国を旅して写生を続けた。第4章では、《れんげ草》や《菜の花》など、野十郎が戦後から1975年に亡くなるまでに描いた作品を展示。対象を細部に至るまで緻密に捉えつつも揺るぎない構図を示す、野十郎の写実スタイルの極致にふれることができる。
野十郎の画業は、「蠟燭」や「月」、「太陽」といった連作によりもっとも特徴付けられる。その背景には、仏教などにより培われた独自の思想が、光と闇という対極にある現象の追求へと誘ったことが挙げられるかもしれない。第5章では、野十郎が描いた多彩な“光と闇”の表現を紹介する。
展覧会「生誕130年記念 髙島野十郎展」
会期:2021年1月20日(水)〜4月4日(日)
会場:久留米市美術館 本館2階
住所:福岡県久留米市野中町1015
TEL:0942-39-1131
開館時間:10:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日
入館料:一般 1,000円(800円)、シニア(65歳以上) 700円(500円)、大学生 500円(300円)、高校生以下 無料
※( )内は15名以上の団体料金
※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳または療育手帳などの所持者と介護者1名は、一般個人料金の半額
※前売券(個人・団体ともに600円)は、チケットぴあ(Pコード 685-259)、ローソン各店(Lコード 86700)にて、会期1ヶ月前より販売
※上記料金で石橋正二郎記念館も観覧可
■巡回情報
・奈良県立美術館
会期:2021年4月17日(土)〜5月30日(日)
住所:奈良県奈良市登大路町10-6
・瀬戸内市立美術館
会期:2021年6月5日(土)〜7月19日(月)
住所:岡山県瀬戸内市牛窓町牛窓4911
・柏市民ギャラリー
会期:2021年7月25日(日)~8月8日(日)
住所:千葉県柏市柏1-7-1 301号 Day Oneタワー 3階
・高崎市美術館
会期:2021年9月5日(日)〜11月7日(日)
住所:群馬県高崎市八島町110-27