金沢の国立工芸館(東京国立近代美術館工芸館)では、特別展「国立工芸館石川移転開館記念展III 近代工芸と茶の湯のうつわ─四季のしつらい─」を、2021年7月4日(日)まで開催する。なお、5月12日(水)から6月13日(日)までは臨時休館となる。
近代以降、茶の湯のうつわを手がけたつくり手のなかには、近世以降のうつわを発想源・制作の拠り所として、造形や意匠に独自の工夫を凝らした“作家”が少なくなかった。
特別展「国立工芸館石川移転開館記念展III 近代工芸と茶の湯のうつわ─四季のしつらい─」では、新たな考えや造形、意匠を示す、個人作家による「表現」のうつわと、使い手からの「見立て」のうつわを、四季の取り合わせのなかで展示。茶の湯のうつわを中心とする約150点から、時代とともに変化する茶の湯に対する作家の思考や、現在における茶の湯の造形について紹介する。
本展では、茶碗や水指、花入など、個々のうつわに焦点を合わせ、その造形や意匠の広がりを概観。たとえば、桃山時代に岐阜・東濃地域で焼造された茶碗「志野」は、近代以降、使い手のみならずつくり手にとっても憧れの対象となり、素材の解明や技法の再現といった取り組みも数多く試みられた。会場では、昭和期に活躍した荒川豊蔵と加藤唐九郎による志野の茶碗を展示し、それぞれの考え方を探る。
茶事では、種類のみならず素材に至るまで多彩な茶の湯のうつわが、同じ空間に同居する。とりわけ、茶碗と茶器、あるいはそれらに水指を加えた取り合わせには、その場を設定した人物の考えが垣間見える。本展では、色や形、雰囲気など、見た目で楽しむ取り合わせを、ほんのりと季節を意識しつつ紹介する。
さらに、「茶の湯」をテーマに、現代の工芸・美術作家12人が制作した茶碗や水指なども公開。工芸館のコレクションとともに、安藤源一郎《紙胎蒟醬風籟茶器》や内田鋼一《白金彩茶盌》、 新里明士《光器水指》などを紹介する。
特別展「国立工芸館石川移転開館記念展III 近代工芸と茶の湯のうつわ─四季のしつらい─」
会期:2021年4月29日(木・祝)〜7月4日(日)
※5月12日(水)〜6月13日(日)は臨時休館
会場:国立工芸館(東京国立近代美術館工芸館)
住所:石川県金沢市出羽町3-2
開館時間:9:30〜17:30(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(5月3日(月・祝)は開館)、5月6日(木)、臨時休館期間
※6月14日(月)以降は無休
観覧料:一般 500円、大学生 300円
※高校生以下および18歳未満、障害者手帳の所持者と付添者1名までは無料
※割引料金あり(詳細は公式ウェブサイトを参照)
■日時指定・定員制
・オンラインによる事前予約を導入
・当日券も若干数用意
・詳細は公式ウェブサイトを確認
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)