金沢21世紀美術館では、「コレクション展1 Inner Cosmology」を、2021年11月3日(水・祝)まで開催する。なお、7月31日(土)から9月30日(木)までのあいだは休止となる。
「コレクション展1 Inner Cosmology」は、「宗教」「祈り」「内省」をテーマに、金沢21世紀美術館のコレクション作品を中心に紹介する展覧会だ。
日々の暮らしのなかで、自分たちではなすすべのないものごとに直面したとき、人びとは神仏にすがり、祈りを捧げ、あるいは自らの心に問いかけることで、超越的な力にふれて日々の幸福を願ってきた。
芸術のひとつの源泉も、こうした営為のそばにあった。見ることのできない世界を現前させる芸術は、人びとが自分だけでは到達しえない領域へと誘う媒体としての役割を担っていたのだ。そうした機能は、人びとが日々の安寧を願って暮らすかぎり、かたちを変えて現代美術にも表れていよう。
本展では、現代作家12人の作品を紹介。表現の媒体も多彩であり、加藤泉の人物絵画、向井山朋子+レニエ・ファン・ブルムレンによる映像作品《雅歌 (GAKA)》、無数のドットが発光する草間彌生の空間インスタレーション、巨大なガラスにグレイの色を施したゲルハルト・リヒターの《8枚のグレイ》、あるいはトイレに設置されたピピロッティ・リストの恒久展示作品など、多岐にわたる表現を目にすることができる。
また、本展には、東欧や西欧、中東、アジアなど、異なる文化的背景のもとで活動してきた作家が出品している。たとえばジャナン・ダグデレンは、イスタンブールに生まれて20歳でウィーンに移り、故郷や家をテーマに作品を手がけている。一方、キューバ生まれのアナ・メンディエータは、社会主義体制への移行に伴い12歳でアメリカに移住。故郷の代替地であったメキシコ滞在を契機に、民族的なアイデンティティ、古代文明や伝統を意識した作品に取り組むようになった。
本展は、日々の生活に息づく祈りや宗教、内省的な営みという視点から現代美術を読み解く展覧会であると同時に、そうした多様な文化的・宗教的価値観の理解を促すものでもある。
コレクション展1 Inner Cosmology
会期:2021年6月15日(火)〜11月3日(水・祝)
※5月29日(土)からの開幕を予定していたが、6月13日(日)まで休館となることに伴い延期
※7月31日(土)〜9月30日(木)は休止(10月1日(金)以降の予定は改めて告知)
※休止対象期間中の日時指定のウェブチケット購入者の払い戻し方法については、購入時にWebketで登録したメールアドレスに後日美術館より連絡
会場:金沢21世紀美術館 展示室1〜6
住所:石川県金沢市広坂1-2-1
休場日:月曜日(11月1日(月)は開場)、休止期間
開場時間:10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)
※観覧券販売は閉場30分前まで
料金:一般 450円(360円)、大学生 310円(240円)、小中高生 無料、65歳以上 360円
※( )内は20名以上の団体料金
※美術奨励の日(会期中の毎月第2土曜日)および市民美術の日(11月3日(水・祝))は、 金沢市民は本展を無料で観覧可(要証明書の提示)
※前売券の販売はなし
■出品作家
ジャナン・ダグデレン、シリン・ネシャット、ファブリス・イベール、ゲルハルト・リヒター、加藤泉、ピピロッティ・リスト、草間彌生、武田竜真、アナ・メンディエータ、ボグラールカ・エーヴァ・ゼレーイ、向井山朋子+レニエ・ファン・ブルムレン
【問い合わせ先】
金沢21世紀美術館
TEL:076-220-2800