エルメス(HERMÈS)が展開する銀座メゾンエルメス フォーラムでは、アーティスト・レジデンシー10周年記念展「転移のすがた」を、2021年12月17日(金)から2022年4月3日(日)まで開催する。
アーティストをエルメスの工房に招聘し、職人と共同制作などを行うプログラム「アーティスト・レジデンシー」。2010年より継続して開催されている同プログラムでは、現在までに34人のアーティストが21の工房に滞在し、皮革やシルク、クリスタル、シルバーなどのさまざまな素材を使用して、職人技術にふれつつ作品を生みだしてきた。
「アーティスト・レジデンシー」の10周年を記念して開催される展覧会「転移のすがた」では、3組の滞在アーティストとそのメンター=推薦者の関係性に着目し、かれらの作品のあいだに見て取ることができる共鳴や、ある種の共犯関係に光をあてる。
本展に出品するのは、2020年から翌年にかけてプログラムに参加したクロエ・ケナムとメンターのイザベル・コルナロ、エンツォ・ミアネスとメンターのミシェル・ブラジー、そしてフランス在住の小平篤乃生とメンターのジュゼッペ・ペノーネ。
クロエ・ケナムは、さまざまな背景や文化に由来するグラフィックや言語などを、別の文脈に置き直すことによる効果と可能性を探っている。一方でメンターのイザベル・コルナロは、象徴的・潜在的・情動的な価値が染み付いたファウンド・オブジェクトを用いつつ、オブジェとそのイメージの関係性を探り、新たな構築を試みてきた。
また、エンツォ・ミアネスは、私生活の断片や日常にありふれたものを通じて「生命」を表現するインスタレーションや彫刻作品を展開。そのメンターのミシェル・ブラジーは、ユーモアと詩情を交錯させつつ、自然とテクノロジー、有機物と人工物といった相反するものを調和させるビオトープを提案している。
さらに小平篤乃生は、「あらゆるメディアや歴史は緩やかに絶え間なく繋がっている」という考えに基づき、考古学とは異なる視座から歴史を捉え、国家成立以前の人間の営みや自然との共存に着目した作品を制作。一方でメンターのジュゼッペ・ペノーネは、イタリアの「アルテ・ポーヴェラ(貧しい芸術)」を代表する彫刻家であり、彫刻について、そして彫刻・人間・自然の関係について問いかける作品を手がけてきた。
本展では、「アーティスト・レジデンシー」でアーティストが制作した作品に加えて、滞在アーティストとメンターそれぞれの作品を一望できる展示を展開。かれらの師弟関係のみならず、素材を扱う手つきや問題意識といった芸術的感性の応答にもふれることができそうだ。
アーティスト・レジデンシー10周年記念展「転移のすがた」
会期:2021年12月17日(金)〜2022年4月3日(日)
会場:銀座メゾンエルメス フォーラム 8・9階
住所:東京都中央区銀座5-4-1
開館時間:11:00〜19:00(入場は閉場30分前まで)
※不定休(基本的にはエルメス銀座店の営業に準ずるが、開館日と開館時間の最新情報についてはギャラリーのウェブサイトを確認のこと)
入場料:無料
■出品アーティスト(括弧内はメンター)
クロエ・ケナム(イザベル・コルナロ)、エンツォ・ミアネス(ミシェル・ブラジー)、小平篤乃生(ジュゼッペ・ペノーネ)
【問い合わせ先】
銀座メゾンエルメス フォーラム
TEL:03-3569-3300