企画展「没後50年 鏑木清方展」が、東京国立近代美術館にて、2022年3月18日(金)から5月8日(日)まで開催される。その後、京都国立近代美術館にも巡回する。
企画展「没後50年 鏑木清方展」は、明治から昭和にかけて活躍した日本画家・鏑木清方の大規模回顧展だ。鏑木清方は美人画家として定評のある一方、美人画のみにとどまらず、人びとの暮らしや人生の機微を捉えた作品を数多く残した。会場には、そんな清方の日本画作品109件が一堂に集結。人びとの生活を捉えた作品や、歌舞伎などの物語に着想を得た作品など、清方自身の自己評価が高い作品を中心に厳選した、清方芸術の神髄に触れられるラインナップが勢揃いする。
注目は、2019年に44年ぶりに公開された《築地明石町》《新富町》《浜町河岸》の三部作。全会期を通して展示される。近代の美人画を代表するイメージの1つである《築地明石町》には、髪を夜会巻に結い上げた女性の姿を明治30年代半ばの明石町の光景と取り合わせて描き、女性の表情に明治回顧の心情を託している。
加えて、初公開作品10点も登場。清方が毎回力作を出品したグループ展・七絃会の出品作《鐘供養》や《雪紛々》などが展示される。
東京会場では、「生活をえがく」「物語をえがく」「小さくえがく」といった3つのテーマに分類して作品を紹介。美人画や風俗画、風景画、肖像画といったジャンルで分けるのではなく、作品の中に描かれた題材や表現形式を軸に展示を行う。
少年が鰯を売りに来た様子を描いた《鰯》や、にぎやかな市の様子を描写した《雛市》などからは、細部にわたる表現から季節感や場所、暮らしの様子を窺い知ることができる。清方が鮮明に記憶に留めていた明治30年代初頭の風俗を、商家の暮らしを軸に12幅にまとめた《明治風俗十二ヶ月》も展示される。
また、泉鏡花や樋口一葉の小説、近松門左衛門や井原西鶴、三遊亭円朝の怪談話、そして歌舞伎から着想を得た物語絵も展示。《一葉女史の墓》は、清方が泉鏡花の『一葉の墓』を読み、その墓を訪ねた際に『たけくらべ』のヒロイン・美登里の幻を見たという体験が着想源となっている。
なお、京都会場では東京展とは構成を変え、年代に沿って清方の作品を紹介する。
【詳細】
企画展「没後50年 鏑木清方展」
会期:2022年3月18日(金)~5月8日(日) 会期中に展示替えあり
会場:東京国立近代美術館
住所:東京都千代田区北の丸公園3-1
休館日:月曜日(3月21日(月・祝)・28日(月)、5月2日(月)は開館)、3月22日(火)
観覧料:一般 1,800円、大学生 1,200円、高校生 700円
※オンラインチケット(日時指定制)は、2022年3月10日(木)10:00より発売予定
※チケット販売の詳細については、展覧会公式サイトを確認のこと
※中学生以下、障害者手帳の提示者とその付添者(1名)は無料(それぞれ入館の際に学生証などの年齢のわかるもの、障害者手帳などを提示のこと)
※本展の観覧料で入館当日に限り、同時開催の所蔵作品展「MOMATコレクション」(10:00開場)も観覧可
■巡回情報
・京都展
会期:2022年5月27日(金)~7月10日(日)
会場:京都国立近代美術館
住所:京都府京都市左京区岡崎円勝寺町
【問い合わせ先】
TEL:050-5541-8600 (ハローダイヤル)