企画展「よめないけど、いいね! ─根津美術館の書の名品─」が、東京の根津美術館にて、2022年7月16日(土)から8月21日(日)まで開催される。
書の作品は、何が書いてあるのかがわからないからと敬遠されやすい。しかし、たとえ読めなくとも、ひと文字ごとの形の美しさ、つづけ字の線が奏でるリズム、そして紙の装飾と書かれた文字が織りなす調和などを通して、肉筆の書そのものの魅力にふれることができる。企画展「よめないけど、いいね! ─根津美術館の書の名品─」では、根津美術館が所蔵する所の名品を軸に、その見どころをわかりやすく紹介する。
たとえば、《大聖武(おおじょうむ)》は、その堂々とした書風と、かつて東大寺に伝来したことから、江戸時代に聖武天皇の筆蹟として名付けられたもの。一方、藤原定信筆《石山切(いしやまぎれ)》からは、金銀の絵具で華麗な下絵を描いた紙の上を、流麗に動く筆のスピードを感じることができる。
また、昔の人びとも、必ずしも誰もがなめらかに書を読めたわけではなかった。8世紀に成立した『万葉集』は、漢字の音や訓を借りた万葉仮名で記されており、10世紀には一般の貴族でも読むことが難しくなっていた。《難波切(なにわぎれ)》の例に見るように、現存する11世紀以降の豪華万葉集では、同じ和歌を万葉仮名とひらがなで並記している。
あるいは、鎌倉時代の《無学祖元墨蹟 附衣偈断簡(むがくそげんぼくせき ふえのげだんかん)》(重要文化財)は、高僧の筆による格調の高い書ではあるものの、茶の湯の掛物とするために切断再構成されており、そもそもひとつの完結した文章として読まれることが意図されていない。
本展ではこのように、書を読むのでなく、別の角度からその魅力に光をあてることで、書の作品をいっそう深く鑑賞するひとつの契機を提供する。
企画展「よめないけど、いいね! ─根津美術館の書の名品─」
会期:2022年7月16日(土)〜8月21日(日)
会場:根津美術館 展示室1・2
住所:東京都港区南青山6-5-1
開館時間:10:00~17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:月曜日(7月18日(月・祝)は開館)、7月19日(火)
入館料:一般 1,300円、学生 1,000円、中学生以下 無料
※オンラインでの日時指定予約制(7月12日(火)より美術館ホームページにて受付開始予定)
※障害者手帳提示者および同伴者は200円引き
※オンライン日時指定予約の定員に空きがある場合のみ、当日券(一般1,400円)を美術館受付にて販売
■日時指定予約制
・来館希望時間帯の2時間前までに根津美術館ホームページ上にて日時指定券を購入(クレジットカード決済のみ)
・根津倶楽部会員、招待はがきを所持していて入館無料の場合も予約が必要
【問い合わせ先】
根津美術館
TEL:03-3400-2536 (代表)