展覧会「合田佐和子展 帰る途(みち)もつもりもない」が、高知県立美術館にて、2022年11月3日(木・祝)から2023年1月15日(日)まで開催される。その後、2023年1月28日(土)から3月26日(日)まで、東京の三鷹市美術ギャラリーに巡回する。
合田佐和子(ごうだ さわこ)は、1940年高知に生まれ、2016年に没した美術家だ。廃品を組み合わせた「オブジェ人形」、写真を見ながら描いた絵画、そしてボディ・メイクを施した人びとを撮影したポラロイド写真など、さまざまな表現領域を横断した合田は、1970〜80年にかけて若者の人気を集めた。また、夫であった美術家・三木富雄をはじめ、60年代の前衛美術を牽引した作家と近い距離感で活動しながらも、美術界の大きな潮流からは距離をおき、独自のスタイルによる制作を続けたのだった。
合田の制作は、1985年の1年間にわたるエジプト滞在を機に内省化の方向に向かい、作風もそれまでの退廃的な雰囲気から一転して、光と色彩に満ちた作品世界を展開するようになった。合田の没後初、約20年ぶりの回顧展となる「合田佐和子展 帰る途(みち)もつもりもない」では、合田の創作活動を1985年を区切りに前後に分け、初期から最晩年に至る約300点の作品と資料からその軌跡を紹介する。
1965年から70年代にかけての合田の活動に大きな影響を与えたのが、詩人の白石かずこであった。白石は、自身のセクシュアリティを肯定し、保守的なジェンダーロールを覆す言動によって、当時の若い女性から人気を得ていた。合田は、白石の詩集『性宇宙』の挿絵を手がけるばかりでなく、白石との交流を通して制作や生き方のうえでも影響を受けることになった。本展では、当時の雑誌資料などから合田と白石の関係性を検証し、合田の初期活動に新たな角度から光をあてる。
また、合田は、日本のアングラ演劇を代表する2つの劇団、「状況劇場」の唐十郎と「天井桟敷」の寺山修司らと協同し、ポスター原画や舞台美術も数多く手がけた。会場では、公演のポスターやその原画となった油彩画に加えて、初公開となる舞台美術セットの構想画などを展示し、合田の幅広い仕事を探ってゆく。
さらに、高知会場だけでの特別展示として、1970年代初頭の合田の生活を捉えた、久里洋二監督によるドキュメンタリー『芸術家の生活と意見─合田佐和子』を上映する。
展覧会「合田佐和子展 帰る途(みち)もつもりもない」
会期:2022年11月3日(木・祝)〜2023年1月15日(日)
会場:高知県立美術館
住所:高知県高知市高須353-2
開館時間:9:00〜17:00(入場は16:30まで)
休館日:12月27日(火)〜1月1日(日・祝)
観覧料:一般前売 960円、一般 1,200円(960円)、大学生 850円(680円)、高校生以下 無料
※( )内は20名以上の団体割引料金
※年間観覧券所持者は無料
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳、戦傷病者手帳、被爆者健康手帳所持者およびその介護者(1名)、高知県および高知市の⻑寿手帳所持者は無料
■巡回情報
・三鷹市美術ギャラリー
会期:2023年1月28日(土)〜3月26日(日)
住所:東京都三鷹市下連雀3-35-1 CORAL 5階
【問い合わせ先】
高知県立美術館
TEL:088-866-8000