企画展「本歌取り式 名画選 ─今、交差する伝統・対話・創造」が、姫路市立美術館にて、2023年1月15日(日)まで開催される。
現代美術作家の杉本博司は、和歌における「本歌取り」、すなわち有名な古歌を取り入れて作歌する手法を、日本文化全般に通底する伝統的な美意識として捉えてきた。そして、2022年秋に姫路市立美術館で開催された「杉本博司 本歌取り─日本文化の伝承と飛翔」展において、大量生産された既製品を作品として用いるマルセル・デュシャンの「レディメイド」に独自の解釈を加えることで、「本歌取り」の概念により広い地平を切り拓いている。
企画展「本歌取り式 名画選─今、交差する伝統・対話・創造」は、杉本博司によって提示された「本歌取り」の概念を受けて、姫路市立美術館のコレクションに新たな光を投げかける試みだ。時代や地域、ジャンルを横断しつつ、「本歌」と「本歌取り」のダイナミックな対話のもとでコレクション作品約90点を紹介する初の機会となる。
本展では、杉本博司を招き、姫路で生まれた新作を含む4点を紹介。未だ所在不明とされる狩野永徳筆《安土城図屛風》を本歌とする新作《狩野永徳筆 安土城図屛風 想像屛風風姫路城図》、木造の《性空上人坐像》と肖像の《性空上人像》を本歌に撮り下ろした新作《性空上人像》を公開するほか、クロード・モネの《エトルタの断崖、日没》やギュスターヴ・クールベの《波》を本歌とする写真作品《英仏海峡、エトルタ》などを展示する。
本展では、「本歌」と「本歌取り」の観点から、姫路市立美術館のコレクションを検証。たとえば、京で興った琳派に私淑して江戸琳派を開いた酒井抱一の《雀児図》や、アンリ・ルソーの名画を独自の世界観へと再解釈する横尾忠則の《アンリ・ルソー「眠れるジプシー」より》など、「本歌取り」の観点からコレクションの名品を紹介する。
また、作品とそこに通底する思想や概念にも着目。西洋美術における「メメント・モリ」の概念とエドヴァルド・ムンクの《死と乙女》、浮世絵の大首絵とピカソのドローイング、禅の円相図と吉原治良《無題》や白髪一雄《国姓爺和藤内》などのように、「本歌取り」の重層的な世界からコレクション作品の本質に光をあててゆく。
企画展「本歌取り式 名画選─今、交差する伝統・対話・創造」
会期:2022年11月19日(土)〜2023年1月15日(日)
会場:姫路市立美術館 企画展示室
住所:兵庫県姫路市本町68-25
開館時間:10:00〜17:00(入場は16:30まで)
開館時間:月曜日(1月9日(月・祝)は開館)、12月28日(水)〜1月3日(火)、1月10日(火)
観覧料:一般 700円(500円)、高校・大学生 400円(200円)、小・中学生 200円(100円)
※( )内は20名以上の団体料金
【問い合わせ先】
姫路市立美術館
TEL:079-222-2288