河口龍夫の個展「涙の質」が、東京のスノーコンテンポラリー(SNOW Contemporary)にて、2023年4月21日(金)から6月10日(土)まで開催される。
日本を代表する現代美術家のひとりである、河口龍夫(かわぐち たつお)。1940年神戸に生まれた河口は、60年代より、生命や時間、エネルギーといった非物質的な対象を可視化する作品を中心に、数多くの作品を手がけてきた。
2011年3月11日、河口は自身の芸術の最大の理解者であった美術評論家・中原佑介に訃報に接した。そして、同日に起こった東日本大震災によって、河口は失語状態に陥ったという。そして、こうした状況のなか、当時の河口が経験したのが「涙の質」の変質であった。
すなわち、中原の死にふれて流した涙は、河口自身、納得できる涙であった。しかし、大震災以後に流した涙は、自分なりに理解できる理由や意味が不明確なまま流れてしまう、いわば今までに経験したことのない涙であったという。
このような「涙の質」の変質を経験した河口は、「涙」を密封する作品シリーズ「涙の質」の制作を開始した。それは、河口がこれまでに手がけてきた、種子を封印する鉛のシリーズと同じように、涙を封印することで「涙」の普遍性を生みだすことを試みるものだといえる。スノーコンテンポラリーでの個展では、この「涙の質」シリーズの作品を紹介する。
河口龍夫「涙の質」
会期:2023年4月21日(金)〜6月10日(土)
会場:スノーコンテンポラリー
住所:東京都港区西麻布2-13-12 早野ビル404
開廊時間:13:00〜19:00
休廊日:日・月・火曜日、祝日
観覧料:無料
【問い合わせ先】
スノーコンテンポラリー
TEL:03-6427-2511