企画展「今日の彫刻─冨井大裕展」が、栃木県立美術館にて、2023年7月8日(土)から9月3日(日)まで開催される。
冨井大裕(とみい もとひろ)は、1973年に生まれたアーティストだ。付箋、色鉛筆、ゼムクリップ、スーパーボール、ハンマーなど、さまざまな事務用品や道具類などを用い、積み上げる、並べる、重ねるといったシンプルな日常的行為を付加することで、冨井は既製品からそれがもともと有していた意味や機能を解き放ち、彫刻としての新たな様相を引き出している。
冨井の作品においては、大量生産された消費財が、基本的な機能を消去されつつもその形態と色彩を保ったまま、ものから作品へと変換されることになる。これは、社会のなかで個々人が担う役割から、各人が解放される過程を仄めかすものとなっている。また、生産・流通・消費・廃棄という消費財の経済プロセスが停止され、制作・展示・消費・保存という美術品に特有のプロセスを示すこととなる。
このように冨井の作品は、家庭用品や文房具、事務用品を彫刻へと変換し、彫刻を生活の場へと引き戻すという往還システムを打ち立て、彫刻家と鑑賞者の立場を流動化させる可能性を開いてゆく。企画展「今日の彫刻─冨井大裕展」では、「旅行者の制作」や「H鋼と紙袋」、「メロー」など、新作を中心とする約9シリーズ・約45件の「彫刻」を通して、人びとが潜在的に持つ創造性へと光をあてる。
企画展「今日の彫刻─冨井大裕展」
会期:2023年7月8日(土)〜9月3日(日)
会場:栃木県立美術館 企画展示室
住所:栃木県宇都宮市桜4-2-7
開館時間:9:30〜17:00(入館は16:30まで)
休館日:月曜日(7月17日(月・祝)は開館)、7月18日(火)
観覧料:一般 1,000円(900円)、高校・大学生 600円(500円)、中学生以下 無料
※( )内は20名以上の団体料金
【問い合わせ先】
栃木県立美術館
TEL:028-621-3566