2020年に美術館や博物館で開催予定の“ファッション”・“モード”の展覧会を特集。東京や兵庫など、関東・関西圏での展覧会スケジュールを一挙紹介する。各詳細からは、展示作品や会期といった開催情報の確認も可能だ。ブランド、ドレスやきもののデザイン、そして写真などアートの切り口から、ファッションの展示を楽しんでみてはいかがだろう。
東京都現代美術館の「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」は、アート・ディレクター、そしてデザイナーとして多岐にわたる分野で活躍した石岡瑛子の世界初となる大規模回顧展だ。会場では、パルコなどの広告を筆頭に、マイルス・デイヴィスのアルバム『TUTU』、映画『ドラキュラ』や『白雪姫と鏡の女王』、『落下の王国』の壮麗な衣装などを展示し、無比の個性と情熱とが刻印された石岡の仕事を総覧する。
会期:2020年11月14日(土)〜2021年2月14日(日)
会場:東京都現代美術館(東京都江東区三好4-1-1)
藍は世界中で古くから用いられている植物染料であり、染め方によって多彩な表情を引き出すこともできる。東京・文化学園服飾博物館の展覧会「世界の藍 Indigo Blue」では、日本、アジア、アフリカ、中米など約40か国の藍染の衣装や布を紹介し、地域や時代により千変万化する藍染の魅力に迫る。
会期:2020年10月2日(金)~12月18日(金)
会場:文化学園服飾博物館(東京都渋谷区代々木3-22)
上野の森美術館で開催される「ロンドン・ナショナル・ポートレートギャラリー所蔵 KING&QUEEN展 ─名画で読み解く 英国王室物語─」は、いわゆる「ファッション」の展覧会ではない。ここで展示されるのは、テューダー朝から現在のウィンザー朝にいたる、イギリスの5つの王朝の肖像画・肖像写真約90点であるからだ。
しかし衣服の研究は元来、ある絵画がいつどこで描かれたのかを特定するいち手法であった(ジョアン・エントウィスル『ファッションと身体』)。翻って本展では、エリザベス1世やヘンリー8世といった人物の肖像の数々から、絢爛たる英国モードの変遷を垣間見ることもできるだろう。
会期:2020年10月10日(土)~2021年1月11日(月・祝)
会場:上野の森美術館(東京都台東区上野公園1-2)
19世紀から20世紀のフランスで、繊細なガラス作品を手がけたルネ・ラリック。ジュエリーや装飾に加えて香水瓶も手がけたラリックは、目には見えない香水の香りを瓶のデザインで表現し、人びとの心を掴んだのだった。箱根ラリック美術館の「ドラマチック・ラリック」は、「ダン・ラ・ニュイ」をはじめラリックの手がけた多数の香水瓶を目にすることができる展覧会となる。
会期:2020年9月12日(土)〜2021年3月21日(日)
会場:箱根ラリック美術館(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原186番1)
友禅の技法で人間国宝に認定される森口邦彦は、グラフィック・デザインと幾何学文様を組み合わせることで、伝統工芸には留まらない「友禅」を展開してきた。京都国立近代美術館の展覧会「人間国宝 森口邦彦 友禅/デザイン─交差する自由へのまなざし」では、《友禅着物 白地位相割付文「実り」》などの友禅着物だけでなく、デザインワークの数々も展示し、多岐にわたる森口の創作活動の全貌を紹介する。
会期:2020年10月13日(火)~12月6日(日)
会場:京都国立近代美術館(京都府京都市左京区岡崎円勝寺町26-1)