特別展「翁 ─大名細川家の能の世界─」が、金沢能楽美術館にて、2020年12月12日(土)から2021年1月31日(日)まで開催される。
日本の代表的な古典芸能である能は、室町時代に観阿弥・世阿弥父子により大成された。なかでも演目のひとつ「翁」は能の原点ともいわれ、専用の能面「翁面」をかけることで演者は神になり、その舞によって世の安泰を祈願する神事的儀式演目である。
特別展「翁 ─大名細川家の能の世界─」では、江戸時代における能の正式な上演スタイル「翁付五番立」に基づいて、「翁」を中心に神・男・女・狂・鬼の5つのジャンルを紹介。江戸時代に肥後熊本を治めた大名細川家伝来の品々から、能面やきらびやかな能装束などを展示する。
「翁」は、天下泰平・国土安穏・延命長寿・五穀豊穣を祈念して舞う、神聖で特別な演目である。翁面もまた、この演目のみに使用される専用の面(おもて)であり、それ自体ご神体として祀られることもある。本展では、「翁(白色尉)」や「三番叟(黒色尉)」など、「翁」にまつわる能面の数々を展示する。
また、翁の演者が身にまとう「萌黄地変り蜀江模様袷狩衣」や、きらびやかな生地に鳳凰などの刺繍を華やかに施した「欝金地花菱に桜牡丹菊鳳凰模様唐織」など、高度な染織技術により作られた能装束も楽しめる。
さらに、大名家伝来の能面の数々も展示。「雷電」や重要美術品 「般若」をはじめ、多彩なジャンルの面を目にすることができる。
なお、関連企画として「翁」の巡回公演も行われる。2021年3月9日(火)には、熊本・水前寺成趣園にて、喜多流宗家預り 友枝昭世(人間国宝)による「翁 熊本公演」を開催。さらに、宝生流二十世宗家 宝生和英による「翁 金沢公演」も予定されている。
令和2年度特別展「翁 ─大名細川家の能の世界─」
会期:2020年12月12日(土)〜2021年1月31日(日) 会期中に展示替えあり
[前期 2020年12月12日(土)〜2021年1月11日(月・祝) / 後期 1月14日(木)〜1月31日(日)]
会場:金沢能楽美術館
住所:石川県金沢市広坂1丁目2番25号
開館時間:10:00〜18:00(入館は17:30まで)
休館日:月曜日(休日の場合は火曜日)、年末年始(12月28日(月)〜1月2日(土))、1月13日(水)
入館料:一般・大学生 310円、65歳以上・障がい者手帳の所持者およびその介護人 210円、団体(20名以上) 260円、高校生以下 無料
■「翁」巡回公演
・翁 熊本公演
日時:2021年3月9日(火)
場所:水前寺成趣園 能楽殿
住所:熊本県熊本市中央区水前寺公園8-1
※詳細およびそのほかの公演情報は決まり次第告知
■巡回情報
・京都展
2021年に開催予定
・東京展〈終了〉
会期:2020年7月23日(木)~8月30日(日)
会場:永青文庫 (東京都文京区目白台1-1-1)
【問い合わせ先】
金沢能楽美術館
TEL:076-220-2790