企画展「茶入と茶碗 ─『大正名器鑑』の世界 ─」が、東京の根津美術館にて、2021年6月1日(火)から7月11日(日)まで開催される。
古くから茶人に大切に扱われてきた茶入(ちゃいれ)。手に取って親しむことで、いっそう愛着が増す茶碗。今日の茶の湯で、茶入と茶碗はもっとも人気の高い道具だといえるだろう。その背景にあるのが、1921年より刊行が始まった『大正名器鑑(たいしょうめいきかん)』の存在だ。同書には、茶入と茶碗の名物(名品)875点が取り上げられており、さまざまな情報とともに鑑賞ポイントが明確に示されたのだった。
企画展「茶入と茶碗 ─『大正名器鑑』の世界 ─」では、『大正名器鑑』の成立過程を概観しつつ、根津美術館が所蔵する茶入と茶碗の名品を紹介する。
茶入では、「肩衝茶入(かたつきちゃいれ) 銘 松屋」(重要文化財)などを展示。 肩の部分が角ばっている“肩衝形”の、唐物の茶入はもっとも重んじられてきた。同作は背の低さと胴の強い張りが珍しく、全9編からなる『大正名器鑑』の第一編冒頭でも9ページにわたって紹介されている。
一方で茶碗では、古来より堅手茶碗(かたでちゃわん)の名品として知られてきた「堅手茶碗 銘 長崎」(重要文化財)、歪みのある形や大胆な文様が特徴的な「鼠志野茶碗 銘 山の端」(重要文化財)、雨漏りのようなしみができた「雨漏茶碗」(重要文化財)など、名品の数々を楽しむことができる。
また、『大正名器鑑』を編纂した高橋義雄と、根津美術館のコレクションの基礎を築いた初代・根津嘉一郎は、茶の湯を通じて親しい関係にあった。本展では、『大正名器鑑』の刊行記念行事で使われた作品を展示し、彼ら2人の交流にも光をあてる。
企画展「茶入と茶碗 ─『大正名器鑑』の世界 ─」〈日時指定予約制〉
会期:2021年6月1日(火)〜7月11日(日)
※臨時休館に伴い、開幕は5月29日(土)から変更
会場:根津美術館
住所:東京都港区南青山6‐5‐1
休館日:月曜日
開館時間:10:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
入館料:オンライン日時指定予約 一般 1,300円(1,100円)、学生 1,000円(800円)、中学生以下 無料
※( )内は障害者手帳提示者および同伴者1名の料金
■日時指定予約制
・入館希望時間帯の開始時刻2時間前までに、根津美術館ホームページ上にて日時指定券を購入(クレジットカード決済のみ)
・根津倶楽部会員、招待はがきを所持していて入館無料の場合も予約が必要
【問い合わせ先】
根津美術館
TEL:03-3400-2536 (代表)