貞享本當麻曼荼羅修理完成記念 特別展「中将姫と當麻曼荼羅─祈りが紡ぐ物語─」が、奈良国立博物館にて、2022年7月16日(土)から8月28日(日)まで開催される。
奈良・當麻寺(たいまでら)の本尊である「綴織當麻曼荼羅(つづれおりたいままんだら)」(国宝)は、奈良時代に現れた奇跡の曼荼羅として尊ばれてきた。この曼荼羅の成立をめぐっては、極楽往生を望んだ貴族の娘である中将姫(ちゅうじょうひめ)が一夜にして織りあげたという伝説が、現在に至るまで伝えられている。
當麻曼荼羅と中将姫への信仰の歴史のなかで、巨大な織物である「綴織當麻曼荼羅」の絵画による写しが数多く手がけられてきた。そうした写しのうちでもっとも詳細に「綴織當麻曼荼羅」の図様を伝えるのが、江戸時代に描かれた名品「貞享本當麻曼荼羅(じょうきょうぼんたいままんだら)」(重要文化財)である。
特別展「中将姫と當麻曼荼羅─祈りが紡ぐ物語─」では、近年修理を終えた「貞享本當麻曼荼羅」を公開し、修理過程で確認された資料などとともに、江戸時代における貞享本製作の全貌を紹介。さらに、貞享本の製作を當麻寺における曼荼羅信仰史におけるひとつの画期と捉え、周辺の當麻曼荼羅信仰や、連動する中将姫信仰の動向にも光をあてる。
奈良時代以降、長く信仰の対象となってきた當麻寺の霊宝・當麻曼荼羅。今もなお當麻寺には、根本像である「綴織當麻曼荼羅」、室町時代に作られた「文亀本當麻曼荼羅」、そして江戸時代に作られた「貞享本當麻曼荼羅」の3つの曼荼羅が伝えられている。本展では、その信仰と當麻曼荼羅の成立にまつわる中将姫の物語に着目しつつ、現存する最古の中将姫像や、黒漆塗に蒔絵を施した「當麻曼荼羅厨子扉」(国宝)などを展示する。
「貞享本當麻曼荼羅」の製作は、江戸時代、當麻寺の「綴織當麻曼荼羅」と「文亀本當麻曼荼羅」の修理に続いて行われ、完成は1686年(貞享3)のことである。この前後の時期には、當麻曼荼羅図像の研究が盛んに行われ、貞享本の図像はもっとも根本曼荼羅に近く、信頼できるものとして重視された。会場では、近年の修理によりその色彩がいっそう鮮やかに蘇った「貞享本當麻曼荼羅」を公開するとともに、綴織と文亀本の修理、そして貞享本の製作という江戸時代の一大プロジェクトにまつわる品々も紹介する。
中将姫の物語は當麻曼荼羅とともに広く知られるようになり、中将姫が書き写したとされる経典『称讃浄土仏摂受経』や、中将姫が手がけたとされる刺繍の仏画など、中将姫に仮託された宝物が現れた。さらに、その物語は、能や狂言、浄瑠璃、歌舞伎といった芸能の題材にもなった。本展では、中将姫への信仰の広がりと、そのイメージの変遷に焦点を合わせた展示も行う。
貞享本當麻曼荼羅修理完成記念 特別展「中将姫と當麻曼荼羅─祈りが紡ぐ物語─」
会期:2022年7月16日(土)~8月28日(日)
会場:奈良国立博物館 西新館
住所:奈良県奈良市登大路町50
開館時間:9:30~18:00(土曜日は19:00まで)
※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(7月18日(月・祝)、8月15日(月)は開館)、7月19日(火)
※「名品展」(なら仏像館・青銅器館)とは休館日、開館時間が異なる
観覧料:一般 1,600円(1,400円)、高大生 1,000円(800円)、小中生 500円(300円)
※( )内は前売料金(2022年5月23日(月)から7月15日(金)まで、博物館観覧券売場(休館日は販売なし)、主要近鉄駅、ローソンチケット、チケットぴあ、イープラス、セブンチケットなどにて販売)
※未就学児、障害者手帳またはミライロID(スマートフォン向け障害者手帳アプリ)の所持者(介護者1名含む)は無料
※本展の観覧券で、同時開催の「わくわくびじゅつギャラリー」(東新館)、「名品展」(なら仏像館・青銅器館)も観覧可
※会期や開館時間などは変更となる場合あり(詳細は博物館公式ホームページを確認のこと)
【問い合わせ先】
TEL:050-5542-8600 (ハローダイヤル)