企画展「戸谷成雄 彫刻」が、埼玉県立近代美術館にて、2023年2月25日(土)から5月14日(日)まで開催される。長野県立美術館でも開催された巡回展だ。
戸谷成雄(とや しげお)は、日本の現代美術を代表する彫刻家だ。1947年長野に生まれ、1970年代より本格的に活動を開始した戸谷は、「彫刻」が批判や解体にさらされてゆく同時代の美術潮流のなか、その成り立ちや構造を問う作品を手がけ、「彫刻」というジャンルの再構築を試みてきた。
愛知県立芸術大学で彫刻を学んだ戸谷は、1974年の初個展において《POMPEII..79 Part1》を発表。同作は、イタリアの古代都市・ポンペイで火山が噴火した際、市民の死体が火山灰のなかで気化し、のちにその空洞に石膏を注ぎ込むことで人型がふたたび現れたことに着想したものであり、その後の戸谷の制作を方向付ける作品となった。そして1984年からは、木材の表面をチェーンソーで彫り刻む「森」シリーズを手がけて国内外で高い評価を受けるようになり、近年に至るまで精力的な活動を展開している。
企画展「戸谷成雄 彫刻」は、戸谷が活動拠点とする埼玉で開催される、初の美術館個展。初個展で発表された《POMPEII..79 Part1》の再制作や代表作「森」をはじめ、彫刻そのものをコンセプチュアルに捉えなおすことを試みた初期作品「《彫る》から」や「《構成》から」、「ミニマリズム」と「バロック」という対照的な概念を同居させた「ミニマルバロック」、そして最新シリーズ「視線体」など、約40点の作品を展示する。
また、本展の埼玉会場では、初期の貴重な作品群も紹介。戸谷が愛知県立芸術大学の卒業制作として発表した2点の人体彫刻《男I 斜面の男》と《器III》を初公開するほか、1983年に戸谷が作品の一部を燃やしたパフォーマンスから派生した彫刻作品《地下の部屋》も、約40年ぶりに展示する。
企画展「戸谷成雄 彫刻」
会期:2023年2月25日(土)〜5月14日(日)
会場:埼玉県立近代美術館
住所:埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1
開館時間:10:00〜17:30(展示室への入場は17:00まで)
休館日:月曜日(5月1日(月)は開館)
観覧料:一般 1,200円(960円)、高校・大学生 960円(770円)
※( )内は20名以上の団体料金
※中学生以下、障害者手帳の提示者(付添者1名含む)は無料
※企画展観覧券(ぐるっとパスのぞく)であわせてMOMASコレクション(1階展示室)も観覧可
【問い合わせ先】
埼玉県立近代美術館
TEL:048-824-0111