左) グエルチーノ《聖フランチェスコの法悦》1620年 油彩/カンヴァス チェント、ファーヴァコレクション
右) グエルチーノ《聖母と祝福を授ける幼児キリスト》1629年 油彩/カンヴァス チェント市立絵画館
東京・上野にある国立西洋美術館で、バロック美術を代表する画家・グエルチーノの展覧会「グエルチーノ展」が日本で初めて開催される。期間は、2015年3月3日(火)から5月31日(日)まで。
グエルチーノは、イタリア美術の中心ともいえる「ボローニャ派」の代表的存在として活躍。16世紀後半から17世紀にかけて、感情に訴えかける新しい美術表現として位置づけられたバロック美術の発展に貢献した。本展では、初期、転換期、後期と3章に分けて、約40点の油彩画を展示。また彼が影響を受けた作品と比較鑑賞することで、知られざるグエルチーノの全貌を明らかにする。
自然観察による写生と、古典的造形から生まれるドラマチックな構造が特徴的なバロック美術。その先駆けとして活躍したカラッチ一族の作品を写生することから、グエルチーノの画家としての生涯はスタート。会場にはルドヴィゴ・カラッチの『聖母子と聖人たち』も展示され、比べることで自らの画法を模索しているグエルチーノの姿を感じとれる。
グエルチーノ《聖イレネに介抱される聖セバスティアヌス》1619年 油彩/カンヴァス ボローニャ国立絵画館
光の効果を駆使したドラマチックな表現とな豊かな色彩が魅力的な初期。対抗宗教改革運動が盛んな時代を象徴するように、聖人や聖女、聖像崇拝などを描いた作品が数多く並ぶ。
ローマ滞在期に、当時流行していた古典主義に影響を受け、画風の転機を迎える。サン・ピエトロ大聖堂の祭壇画や教皇の肖像画などを経て、落ち着きのある構図と形態を確立した時代の作品が展示される。
左) グエルチーノ《聖母被昇天》1622年頃 油彩/カンヴァス チェント、サンティッシモ・ロザリオ聖堂
右) グイド・レーニ《巫女》1635-36年 油彩/カンヴァス ボローニャ国立絵画館
後期は、女性像と宗教主題の2つのセクションに分けて展覧。初期に見られるドラマチックな演出は影をひそめ、調和と均衡を保つ“理想美”を追求した作品が展開される。さらに彼のライバルであったグイド・レーニの作品と比べて鑑賞することで、両者の関係性を垣間見ることができる。
西洋絵画の流れを決定づけた古典主義とは何か。国内初となる貴重な展覧会に、ぜひ足を運んで作品の変化を体感してみては。
【展覧会情報】
よみがえるバロックの画家 グエルチーノ展
会期:2015年3月3日(火)~5月31日(日)
時間:9:30~17:30
※金曜日は、20:00まで。
※入館は、閉館の30分前まで。
休館日:月曜日
※ただし、3月30日(月)、5月4日(月)、5月18日(月)は開館。
会場:国立西洋美術館
住所:東京都台東区上野公園7-7
料金:一般 1,500円(1,300円)、大学生 1,300円(1,100円)、高校生 800円(600円)、中学生以下 無料
※()内は前売り、団体料金(20名以上)。
※心身に障害のある方とその付添者1名は無料。(入館時に障がい者手帳を提示)
※前売り券は、2015年1月1日(木)~3月2日(月)の期間販売。(ただし、国立西洋美術館では2015年1月2日~1月12日の間のみ販売)
※当日券は、2015年3月3日(火)から販売開始。
【問い合わせ先】
国立西洋美術館
TEL:03-5777-8600(ハローダイヤル)