「神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展」が渋谷・Bunkamura ザ・ミュージアムにて、2018年1月6日(土)から3月11日(日)まで開催される。先んじて、福岡市博物館では2017年11月3日(金・祝)から12月24日(日)まで開催。後に滋賀・佐川美術館にて2018年3月21日(水・祝)から5月27日(日)まで開催される。
プラハに宮廷を構え、神聖ローマ帝国皇帝として君臨したハプスブルク家のルドルフ2世は稀代のコレクター、芸術の庇護者として知られている。本展では、ジュゼッペ・アルチンボルドを始め、ルドルフ2世が愛好した芸術家を中心に、版画を含む絵画作品約80点と、当時のコレクターズアイテムであった工芸品や天文道具約20数点、天文学や錬金術に関する貴重な資料など、120点余りの作品を展示する。
プラハにてルドルフ2世の宮廷文化が花開いた16世紀末から17世紀初頭は、望遠鏡による天体観測が始まり、ガリレオ・ガリレイが地動説を唱えるなど、人々の宇宙への関心度が高まった時代だった。
展示作品の天体観測用具《航海用アストロラーベ》からも窺えるように、天文学や占星術に関心の高かったルドルフ2世は、デンマークの天文学者ティコ・ ブラーエや、ヨハネス・ケプラーをお抱えの天文学者として雇用するなど、天文学が科学的分野になるにあたり、重要な役割を果たした。
《バベルの塔》は、天まで届く塔を建設しようとした人間の高慢さに警鐘を鳴らす主題の作品。神に挑戦する人間への戒めを表現し、宗教改革の時代に流れる不穏な空気感を伝えている。
ルドルフ2世は、生きた動物を集めた動物園も所有しており、馬の愛好家でもあった。宮廷画家の一人であるルーラント・サーフェリーは、画面いっぱいに沢山の動物たちを描いた。《動物に音楽を奏でるオルフェウス》など、動物の愛らしい魅力にあふれる作品を多数残している。
ルーラント・サーフェリーの《花束》は、しっとりとした質感でシックに花々を描いた作品。一方、ヤン・ブリューゲル(父)の《陶製の花瓶に生けられた小さな花束》は、生き生きとした躍動感に満ちた花の様子が見て取れる。作家による個性の違いを見比べてみるのも、本展の魅力の一つだ。
2017年6月に開催された「アルチンボルド展」が記憶に新しい、ジュゼッペ・アルチンボルド。彼の描いた《ウェルトゥムヌスとしての皇帝ルドルフ2世像》や、官能的な神話画《パリスの審判》のハンス・フォン・アーヘンなど、ルドルフ2世のもとに集った豪華な宮廷画家たちの作品にも注目だ。
皇帝としてなすべき職務や義務よりもコレクションに関わることの方を好んだルドルフ2世は、ヨーロッパ随一の素晴らしい プライベートミュージアムを作り上げた。美しいもの、奇妙なもの、怪物じみたものや異国趣味の大の愛好者であった皇帝の魔術的な魅力に満ちた芸術と科学の世界を堪能しよう。
神聖ローマ帝国皇帝 ルドルフ2世の驚異の世界展
会期:2018年1月6日(土)~3月11日(日)
休館日:1月16日(火)、2月13日(火)
開館時間:10:00~18:00(毎週金・土曜日は21:00まで) ※入館は各閉館の30分前まで
会場:Bunkamura ザ・ミュージアム
住所:東京都渋谷区道玄坂2-24-1
入館料:一般=1,600円(1,400円)、大学・高校生=1,000円(800円)、中学・小学生=700円(500円)
※()内は前売・20名以上の団体料金
問い合わせ先:TEL 03-5777-8600(ハローダイヤル)
巡回:
(福岡)福岡市博物館 2017年11月3日(金・祝)~12月24日(日)
住所:福岡県福岡市早良区百道浜3-1-1
(滋賀)佐川美術館:2018年3月21日(水・祝)~5月27日(日)
住所:滋賀県守山市水保町北川2891