18世紀の人工顔料の飛躍的な進歩以来、現在に至るまで市販されている絵の具の数は100色を超える。絵具の進歩により画家たちの色彩も、大きな変遷を迎えた。そんな“色”をキーワードに、2013年6月22日(土)から9月18日(水)の期間、ブリヂストン美術館にて「色を見る、色を楽しむ」展覧会が開催される。
本展では、モネ、ルノワールなど19世紀の印象派から、セザンヌを経て、マティス、ピカソなど20世紀に至る西洋美術の展開を中心に、藤島武二や青木繁などの日本近代洋画、そして戦後の抽象絵画までのコレクション約170点が展示される。
中でも注目は、アンリ・マティスの挿絵本「ジャズ」の版画20点、ルドンのリトグラフ集「夢想(わが友アルマン・クラヴォーの想い出に)」。
左) ©アンリ・マティス 《『ジャズ』VⅢ イカルス》1947年
右) ©オディロン・ルドン 《『夢想』Ⅲうつろいやすい光、無限に吊されたひとつの顔》1891年
ルノワールやボナールと同様に「色彩画家」と呼ばれる画家マティス。彼の挿絵本「ジャズ」はジャズミュージックからインスピレーションを受けた作品ではなく、作品のスピリットがジャズとリンクしたためつけられたもの。強い色のコントラストが人々の目を引き付ける。
そんなマティスやルノワールと対照的に、モノクロの世界で色を表現するのがルドンだ。ルドンにとって黒は「あらゆる色の中で一番本質的」な色であり、彼の幻想世界を取り巻く色だった。
けれど彼の油絵を見てみると、単なる「黒」の画家とは言い難い。今回展示される「神秘の語らい」も、幻想的な色使いに、宗教性を帯びた静かな重みが漂う。
「パレットから黒色を追い出した」と言われる印象派から、戦後に至るまでの時代で見るの変遷、また画家個人の色使いの違いなどいつもとは異なる“色”という視点から絵画を見るのも楽しそう。
またあわせて、芸術・文化のさまざまなテーマを専門家が講演する、土曜講座「色で読む美術」(全5回)も開催される。
【展覧会詳細】
開催期間:2013年6月22日(土)~9月18日(水)
入館料:一般800円(600円)シニア600円(500円)大高生500円(400円)
※中学生以下無料。()内は15名以上の団体料金。シニアは65歳以上
開館時間:10:00~18:00(毎週金曜日は20:00まで)※入館は閉館の30分前まで
休館日:月曜日(祝日の場合は開館)
住所:東京都中央区京橋1-10-1
TEL:03-3563-0241
【土曜講座】
「色で読む美術」(全5回)
開催日:7月6日、7月13日、7月20日、7月27日、8月3日
時 間:14:00~16:00
会 場:ブリヂストン美術館ホール
聴講料:各400円
定 員:130名(先着順)