青森の弘前れんが倉庫美術館では、ケリス・ウィン・エヴァンスによる新作を基点とした展覧会を、全2部で開催。春夏プログラム「りんご宇宙─Apple Cycle / Cosmic Seed」は2021年4月10日(土)から8月29日(日)まで、秋冬プログラム「りんご前線─Hirosaki Encounters」は2021年10月1日(金)から2022年1月30日(日)まで。
ケリス・ウィン・エヴァンスは、イギリス・ウェールズ出身で世界的に活躍するアーティストだ。1980年代から実験的な映像作品により作家活動を開始し、1990年代以降、哲学や音楽、天文学、物理学といった多彩な分野を背景に、ネオンや音、鏡などを用いた作品を手掛けている。
2019年に弘前を訪れたウィン・エヴァンスは、この地で出会った“りんご”に触発されて、ネオン管を使用した高さ約7mもの彫刻作品を生み出した。その発想源には、“植物”としてのりんごにとどまらず、シードル、原罪、ニュートンの万有引力といった自然法則など、りんごにまつわる象徴や連想、イメージがあるのだ。
2021年度の本プログラムは、同館のためにウィン・エヴァンスが手掛けたこの新作を中心とする展覧会。異なるテーマのもと、複数のアーティストの作品から構成された展示を、春夏・秋冬の全2部で展開する。
第一部の春夏プログラム「りんご宇宙─Apple Cycle / Cosmic Seed」では、りんごをめぐる豊かな思考と想像の広がりに着目し、国内外の現代アーティスト8名の作品を展示。
りんごは、西洋美術史において、古くより豊穣や生命の儚さを表すものとして描かれてきた。本展では、そうしたりんごの伝統的なイメージにとらわれず、現代作家によるりんごを素材とした創作、生と死、循環や種子、変容といった視点を踏まえて、日常の身近な存在から宇宙規模にまで広がるりんごの“かたち”を紹介する。
会場では、りんごをモチーフとした彫刻などを手掛ける雨宮庸介、多彩なジャンルから着想を得て独自の神話的宇宙を構築するタカノ綾、社会と個人の関係裡で生じる疑問や戸惑いを、自身の身体や日用品により表現する潘逸舟(ハン・イシュ)らが、展示場所に合わせた新作を発表。
また、不可視の関係性そのものを作品を通じて顕在化してきた河口龍夫が、“りんごの種子”を鉛に閉じ込めた代表作を展示するなど、多彩なジャンルの作品を通して、“りんご”が誘う思考と想像の世界にふれることができる。
さらに、ムラーノガラスなどを用いた、展示環境と調和する大型作品で知られるジャン=ミシェル・オトニエルは、直径2mにもわたるガラス彫刻の新作《エデンの結び目》を初公開。同作は、今後数年にわたり館内に設置される予定だ。
一方、第二部の秋冬プログラム「りんご前線─Hirosaki Encounters」では、大きな気象の変化を引き起こす気団の境界・交線や、運動の第一線などを意味する「前線」をキーワードに、さまざまな遭遇や対峙、交流から生まれる作品を紹介するとともに、弘前という地に固有な力や風土性にも光をあてる。
■2021年度 春夏プログラム「りんご宇宙─Apple Cycle / Cosmic Seed」
会期:2021年4月10日(土)〜8月29日(日)
会場:弘前れんが倉庫美術館
住所:青森県弘前市吉野町2-1
開館時間:9:00〜17:00(入館は閉館30分前まで)
休館日:火曜日(祝日の場合は翌平日、ただし4月27日(火)・5月4日(火・祝)・8月3日(火)は開館)
観覧料:一般 1,300円(1,200円)、大学生・専門学校生 1,000円(900円)
※( )内は20名以上の団体料金
※高校生以下、弘前市内の留学生、満65歳以上の弘前市民、ひろさき多子家族応援パスポートの所持者、障がい者と付添者1名は無料
〈参加アーティスト〉
雨宮庸介、ケリス・ウィン・エヴァンス、河口龍夫、タカノ綾、和田礼治郎、ジャン=ミシェル・オトニエル、笹本晃、潘逸舟(ハン・イシュ)
■2021年度 秋冬プログラム「りんご前線─Hirosaki Encounters」
会期:2021年10月1日(金)〜2022年1月30日(日)
※当初は9月18日(土)の開幕を予定していたが、臨時休館に伴い変更
会場:弘前れんが倉庫美術館
【問い合わせ先】
弘前れんが倉庫美術館
TEL:0172-32-8950