島根県立美術館では、コレクション展「受贈記念 奈良原一高×勝井三雄」を、2022年9月2日(金)から11月28日(月)まで開催される。

奈良原一高と勝井三雄の作品を紹介

コレクション展「受贈記念 奈良原一高×勝井三雄」では、島根県立美術館が近年寄贈を受けた、写真家の奈良原一高とグラフィック・デザイナー勝井三雄の作品を紹介する展覧会だ。

1931年に生まれた奈良原一高は、戦後日本の写真を牽引し、国際的にも高く評価されている。2020年1月に奈良原がこの世を去ると、島根県立美術館は2020年度、遺族からその作品305点の寄贈を受けた。これらは、2010年に同館で開催された企画展「手のなかの空 奈良原一高1954-2004」の出品作を中心とするものである。本展ではそのなかから、「ヨーロッパ・静止した時間」と「ジャパネスク」の2つのシリーズを紹介する。

1956年の初個展「人間の土地」でデビューした奈良原は、1962年にヨーロッパへと旅立ち、フランス、スペイン、イタリア、オランダなどを撮影して回った。そこから生まれたのが、日本写真史に残る名作「ヨーロッパ・静止した時間」だ。また、ヨーロッパでの生活を通して日本人としての自己を改めて意識した奈良原は、帰国後、異邦人のような視線で日本を捉えた「ジャパネスク」を発表している。会場では、これら2つのシリーズの作品約110点を展示する。

一方、1931年に生まれた勝井三雄は、日本の戦後デザインを牽引したグラフィック・デザイナーであり、奈良原の親友として生涯親交を結んでいた。2010年の「手のなかの空」展に訪れた勝井は、自身の作品を語る奈良原の文章に感銘を受け、これを契機に『太陽の肖像 奈良原一高文集』が刊行されることになる。島根県立美術館が勝井の遺族から、ポスター89点、そして奈良原との共作によるカレンダーの寄贈を受けたのは、こうした縁があってのことである。

本展では、日本ポスター史に残る、初期の作品から近作までの代表作89点に加えて、勝井三雄がデザインし、森英惠が衣装を手がけ、奈良原一高の写真による富士紡績カレンダーを展示。勝井の寄贈作品の全貌を紹介する。

展覧会概要

コレクション展「受贈記念 奈良原一高×勝井三雄」
会期：2022年9月2日(金)～11月28日(月)
会場：島根県立美術館 コレクション展示室4・5
住所：島根県松江市袖師町1-5
開館時間：9月 10:00～日没後30分 / 10・11月 10:00～18:30
※展示室への入場はいずれも閉館30分前まで
休館日：火曜日
観覧料：一般 300円、大学生 200円、高校生以下 無料

【問い合わせ先】
島根県立美術館
TEL：0852-55-4700