展覧会「学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢﨑宗重―」が、すみだ北斎美術館にて2021年10月12日(火)から12月5日(日)まで開催される。
「学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢﨑宗重―」では、北斎の研究者であり、世界有数の北斎作品コレクターでもあったピーター・モースと、葛飾派作品をはじめ貴重で多種多様な資料を収集した浮世絵研究の第一人者・楢﨑宗重、それぞれのコレクションから、珠玉の名品約140点を紹介。
希少な北斎作品や、高名な絵師・画家たちの作品を通して、ピーター・モースと楢﨑宗重、各々の作品に対するこだわりや、研究業績を辿っていく。
ピーター・モースは、北斎の「諸国瀧廻り」シリーズに関する論文の執筆や、単著『Hokusai: One Hundred Poets』の刊行、また、北斎の全作品目録を試みるなど、北斎の研究者・そして収集家として総数約600点にも及ぶコレクションを収集。希少価値の高い作品も多く、欧米における個人収集としては最高・最大の内容といわれているピーター・モースコレクションから、95点が会場に展示される。
保存状態が極めて良いことからピーター・モースが最も大切にしたとみられる北斎の「新板浮絵」シリーズより、参詣に向かう人々の賑わいを細かな風俗描写とともに描いた「新板浮絵三囲牛御前両社之図」を展示。遠近法によって奥行きを強調した、浮絵ならではの立体感のある描写が特徴だ。加えて、空摺(からずり)による凹凸をつけることで表現された川面の波紋がくっきりと確認できる「冨嶽三十六景 武州玉川」など、北斎や摺り師の技巧までも感じられる作品の数々を目にすることができる。
昭和から平成にかけて活動した美術史家・楢﨑宗重のコレクションからは、北斎の画法を継承しつつ独自の画風を確立した葛飾派の絵師、蹄斎北馬(ていさいほくば)の「夕立図」が登場。大きな画面に、夕立に見舞われる峠の茶屋の様子を細かく描き込んだ肉筆画で、風俗描写に秀でた北馬の画風を象徴する作品の1つだ。
また、顔料を厚く塗るなど、西洋の油彩画を強く意識して描かれた長沢蘆雪の作品「洋風母子犬図」や、版画家・川瀬巴水が叙情的に風景を表現した新版画「雪の寺」なども展示。一部展示作品は、楢﨑宗重の著した作品解説とともに紹介する。
【詳細】
学者の愛したコレクション ―ピーター・モースと楢﨑宗重―
会期:2021年10月12日(火)~12月5日(日) ※前後期で一部展示替えあり
前期 10月12日(火)~11月7日(日)/後期 11月9日(火)~12月5日(日)
会場:すみだ北斎美術館
住所:東京都墨田区亀沢2-7-2
休館日:毎週月曜日
開館時間:9:30~17:30(入館は17:00まで)
料金:一般 1,000円、高校生・大学生 700円、65歳以上 700円、中学生 300円、障がい者 300円、小学生以下無料
※本展のチケットは、会期中観覧日当日に限り、AURORA(常設展示室)も観覧可能。
※団体での来館は、当面の間、受付不可。
【問い合わせ先】
TEL:03-6658-8936(9:30~17:30 ※休館日を除く)