展覧会「松江泰治 マキエタCC」が、東京都写真美術館にて、2021年11月9日(火)から2022年1月23日(日)まで開催される。
世界各地の地表を独自の視点から捉えた作品を手がけてきた写真家、松江泰治。画面に空や地平線を含めず、被写体に影が生じない順光で撮影するというルールに基づいたその作品は、写真という表現媒体の本質を問い直す平面的で均質な画面を生みだしている。
展覧会「松江泰治 マキエタCC」は、東日本の公立美術館では初となる松江泰治の個展だ。これまでに制作してきた作品のなかから、作家が訪れた世界各地の都市を独自のルールに基づいて撮影した〈CC〉と、同じルールで世界各地の都市や地形の模型を写した〈makieta(マキエタ)〉の2つのシリーズを取り上げ、初公開となる新作も交えつつ紹介する。
松江の代表作である〈CC〉は、“City Code”の頭文字を取ったシリーズ名のとおり、各作品のタイトルに撮影地の都市コードが付けられている。2001年、ギリシャのアテネでの撮影で始まったこのシリーズの作品では、被写体に影が生じない順光での撮影、地平線を含まない構図、そして全体に合わせられたピントなど、独自の厳密なルールに従って撮影されることで、奥行きが排除された、均質かつ克明な画面が展開されている。
一方、ポーランド語で「模型」を意味する〈makieta〉は、実際の都市や自然を撮影したほかの作品と同様のルールで、世界各地の都市や地形の模型が写されている。写真によって模型から立ち現れる風景は、現実と見まごうほどの精巧さを有しており、現実と虚構の境界をかき乱すものとなっている。
さらに、松江が2010年より制作を始めた映像作品も展示。写真作品と同じ松江独自のルールに基づいて撮影された映像作品は、一見すると写真のように静止して見えるものの、注視すると細部が少しずつ動いているとわかる。会場では、グアテマラの市場を映した作品など4点の映像作品を紹介。本展の写真・映像作品からは、コンセプト自体は一貫していながら、新しい技術を取り入れつつ変化してきた松江の表現にふれることができるだろう。
展覧会「松江泰治 マキエタCC」
会期:2021年11月9日(火)〜2022年1月23日(日)
会場:東京都写真美術館 2階展示室
住所:東京都目黒区三田 1-13-3 恵比寿ガーデンプレイス内
開館時間:10:00〜18:00(木・金曜日は20:00まで)
※入館は閉館30分前まで
休館日:月曜日(月曜日が祝休日の場合開館し、翌平日休館)、年末年始(12月28日(火)〜1月4日(火)、ただし1月2日(日)・3日(月)は臨時開館)
観覧料:一般 700円、大学・専門学校生 560円、中高生・65歳以上 350円
※小学生以下および都内在住・在学の中学生、障害者手帳の所持者と介護者(2名まで)は無料
※1月2日(日)・3日(月)は無料、開館記念日のため1月21日(金)は無料
※オンラインによる事前予約が可能(詳細は美術館ホームページを参照)
※内容は変更となる場合あり(最新情報については美術館ホームページを確認のこと)
【問い合わせ先】
東京都写真美術館
TEL:03-3280-0099