企画展「さまよえる絵筆 ─東京・京都 戦時下の前衛画家たち」が、京都文化博物館にて、2021年6月5日(土)から7月25日(日)まで開催される。
1930年代後半の日本では、前衛画壇が最盛期を迎える一方で、戦争に伴い表現の自由が奪われつつあった。また、美術界では日独伊防共協定の締結や太平洋戦争の開戦などを契機として、イタリアのルネサンス絵画、日本の埴輪や仏像、庭園など、前衛とは対極にあるものの紹介が活発化した。
こういった背景のもとで前衛画家は、西洋の伝統絵画を思わせる技法に基づいた人物画や静物画、そして日本の埴輪や仏像、京都の龍安寺の石庭を描いた作品などを発表していた。そうした画家には、東京に暮らす福沢一郎や靉光らかつてシュルレアリスム絵画を試みた「美術文化協会」のメンバーに加え、同会に京都から参加した北脇昇や小牧源太郎、抽象画家たちが参加した「自由美術家協会」の長谷川三郎や難波田龍起、そして太平洋戦争中に結成された「新人画会」の松本竣介などを挙げることができる。
こうした状況から、戦時下の日本では前衛絵画は弾圧されていたと捉えられることもあった。しかし実際、前衛画家は西洋や東洋、日本の伝統的な技法や題材に立ち戻ることで、自らの立ち位置を確認し、時代の感覚を伝える新たな表現を模索していたのだ。
企画展「さまよえる絵筆 ─東京・京都 戦時下の前衛画家たち」では、戦時下の前衛画家による作品を、当時の資料とともに紹介。靉光《静物(雉)》や北脇昇《非相称の相称構造(窓)》、難波田龍起《埴輪》など、画家がそれぞれに現実をまなざして描いた作品から、東京・京都ふたつの都市で育まれた前衛絵画のひとつの流れを紹介する。
企画展「さまよえる絵筆 ─東京・京都 戦時下の前衛画家たち」
会期:2021年6月5日(土)〜7月25日(日)
会場:京都文化博物館 3階展示室
住所:京都府京都市中京区三条高倉
TEL:075-222-0888
休館日:月曜日
開館時間:10:00~19:30(入場は閉室30分前まで)
入場料:一般 500円(400円)、大学生 400円(320円)、高校生以下 無料
※上記料金で2階総合展示室と3階フィルムシアターも観覧可(催事により有料の場合あり)
※学生料金での入場時には学生証を提示
※予定は変更となる場合あり
■終了した会場
・板橋区立美術館
会期:2021年3月27日(土)〜5月23日(日)
※4月26日(月)〜5月31日(月)の臨時休館に伴い閉幕
住所:東京都板橋区赤塚5-34-27