関東で2020年に開催される、アートのおすすめ展覧会を特集。東京・神奈川・千葉などの美術館・博物館で開催予定の展覧会スケジュールを一挙紹介する。各詳細からは、会期やチケット情報、展示作品などの開催情報を確認することも可能だ。建築やデザイン、ファッション、写真、西洋絵画、日本画など、気になる展覧会をチェックしておこう。
東京都庭園美術館の「生命の庭─8人の現代作家が見つけた小宇宙」は、アール・デコの館・旧朝香宮邸を舞台に、日本の現代作家の作品を通して、人間と自然の関係性を問い直すことを試みる展覧会だ。胎児のような「人型」を描いた油彩画で知られる加藤泉、菌類やウィルスなどをモチーフにガラス作品を制作する青木美歌、そして淺井裕介、康夏奈、小林正人、佐々木愛、 志村信裕、山口啓介の8人の作家が参加し、個性豊かな展示空間を織りなす。
会期:2020年10月17日(土)〜2021年1月12日(火)
会場:東京都庭園美術館(東京都港区白金台5-21-9)
東京都現代美術館の「石岡瑛子 血が、汗が、涙がデザインできるか」は、アート・ディレクター、そしてデザイナーとして多岐にわたる分野で活躍した石岡瑛子の世界初となる大規模回顧展だ。会場では、パルコなどの広告を筆頭に、マイルス・デイヴィスのアルバム『TUTU』、映画『ドラキュラ』や『白雪姫と鏡の女王』、『落下の王国』の壮麗な衣装などを展示し、無比の個性と情熱とが刻印された石岡の仕事を総覧する。
会期:2020年11月14日(土)〜2021年2月14日(日)
会場:東京都現代美術館(東京都江東区三好4-1-1)
展覧会「日本のたてもの ─自然素材を活かす伝統の技と知恵」が、東京国立博物館・国立科学博物館・国立近現代建築資料館にて開催。建築物の細部や素材の風合いを精巧に再現した建築模型などを通して、自然素材を活かした日本建築の特徴を、古代から現代に至るまで紹介する。
・東京国立博物館「古代から近世、日本建築の成り立ち」
会期:2020年12月24日(木)〜2021年2月21日(日)
会場:東京国立博物館 表慶館(東京都台東区上野公園13-9)
・国立科学博物館「近代の日本、様式と技術の多様化」
会期:2020年12月8日(火)〜2021年1月11日(月・祝)
会場:国立科学博物館 日本館(東京都台東区上野公園7-20)
・国立近現代建築資料館「工匠と近代化─大工技術の継承と展開─」
会期:2020年12月10日(木)〜2021年2月21日(日)
会場:国立近現代建築資料館(東京都文京区湯島4-6-15 湯島地方合同庁舎内)
そのほか東京都内のおすすめ展覧会はこちらから。
横浜美術館で開催される「トライアローグ:横浜美術館・愛知県美術館・富山県美術館 20世紀西洋美術コレクション」は、3館の所蔵作品を組み合わせ、20世紀西洋美術の歴史をたどる展覧会だ。パブロ・ピカソなど20世紀美術の幕開けに始まり、サルバドール・ダリといったシュルレアリスム、ジャクソン・ポロックらが活躍した抽象表現主義を経て、アンディ・ウォーホルといったポップアート、そしてフランシス・ベーコンやゲルハルト・リヒターなどの多元化する20世紀後半の美術に至るまで、絵画を中心に約120点を展示する。
会期:2020年11月14日(土)~2021年2月28日(日)
会場:横浜美術館(神奈川県横浜市西区みなとみらい3-4-1)
19世紀から20世紀のフランスで、繊細なガラス作品を手がけたルネ・ラリック。ジュエリーや装飾に加えて香水瓶も手がけたラリックは、目には見えない香水の香りを瓶のデザインで表現し、人びとの心を掴んだのだった。箱根ラリック美術館の展覧会「ドラマチック・ラリック」では、「ダン・ラ・ニュイ」をはじめラリックの手がけた多数の香水瓶を目にすることができる。
会期:2020年9月12日(土)〜2021年3月21日(日)
会場:箱根ラリック美術館(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原186番1)
箱根・岡田美術館の展覧会「没後220年 画遊人・若冲 ─光琳・応挙・蕭白とともに─」では、同館が収蔵する伊藤若冲の作品全7件を一挙公開。松に囲まれた鳳凰と白孔雀を描いた「孔雀鳳凰図」や、雪中の雄鶏が振り向く一瞬を捉えた「雪中雄鶏図」など4件の着彩画に加え、「月に叭々鳥図」といった水墨画3件も楽しむことができる。また、若冲が学んだ尾形光琳、そして同時代の京都画壇を代表する円山応挙らの作品も展示する。
会期:2020年10月4日(日)〜2021年3月28日(日)
会場:岡田美術館(神奈川県足柄下郡箱根町小涌谷493-1)
19世紀後半以降、日本文化は欧米の芸術に大きな刺激を与えた一方で、欧化政策を進める明治期日本では、黒田清輝ら多くの学生がフランスへ留学し、その後の近代日本美術の礎を築いた。箱根・ポーラ美術館の展覧会「Connections─海を越える憧れ、日本とフランスの150年」では、日本とフランスの「美の往還」に着目。モネやゴッホ、黒田清輝や岡田三郎助といった近代芸術家の作品を展示するとともに、森村泰昌や山口晃ら現代アーティストの作品と組み合わせて展示することで異文化理解の魅力に迫る。
会期:2020年11月14日(土)~2021年4月4日(日)
会場:ポーラ美術館(神奈川県足柄下郡箱根町仙石原小塚山1285)
宮島達男は、LEDのデジタル・カウンターを使用した作品で高く評価される現代美術作家だ。千葉市美術館の「宮島達男 クロニクル 1995-2020」は、宮島の転換期にあたる1995年を起点に、その活動をたどる大規模個展。《地の天》といったLED作品やパフォーマンスなどの多彩な作品を通して、時間と空間に深く関わる宮島の表現をひもとく。
会期:2020年9月19日(土)〜12月13日(日)
会場:千葉市美術館(千葉県千葉市中央区中央3-10-8)
日本列島社会の「歴史」は男性を中心に物語られ、女性の存在はほとんどこぼれ落ちてきた。千葉・国立歴史民俗博物館の企画展示「性差(ジェンダー)の日本史」では、日本の古代から現代にいたるジェンダーの成立と変遷に焦点。埴輪や彫像、絵画、写真、そして衣装などの多彩な資料280点以上を通して、政治空間、仕事や生活、そして性の売買春といった視点から、ジェンダーの歴史をひもとく。
会期:2020年10月6日(火)~12月6日(日)
会場:国立歴史民俗博物館(千葉県佐倉市城内町117)
上田薫は、写真を使用して対象を精巧に描きだす画家だ。殻から滑り落ちてくる生玉子のように、一瞬で姿を変える対象を現実以上にリアルに捉えるその作品は、リアリズム絵画のなかで独自の位置を占めている。埼玉県立近代美術館の企画展「上田 薫」では、最初期から現在までの上田薫の歩みを、作品約80点を通して紹介する。
会期:2020年11月14日(土)~12月23日(水)
会場:埼玉県立近代美術館(埼玉県さいたま市浦和区常盤9-30-1)
受動的な「聴く」という行為は、注意が向けられることが少ないものの、それまで気付かなかったことを再認識させる創造的な働きも持っている。群馬・アーツ前橋の展覧会「聴く─共鳴する世界」では、「聴く」ことを通して社会やアイデンティティと関わる実践を、美術作品から紹介。アンジェリカ・メシティ、野村誠、恩田晃、小森はるか+瀬尾夏美、 ワン・ホンカイ、スン・テウら5人と1組のアーティストを取り上げる。
会期:2020年12月12日(土)〜2021年3月21日(日)
会場:アーツ前橋(群馬県前橋市千代田町5-1-16)